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「厳重な警備があった。しかし、気付いた時には、子供が部屋から消えていた…………」
「そのまま、消えたまでも良かったのでは?」
子供に興味の無い親ならば、そのままいなくなってくれた方が良かったのではないのか。
「奪い返したと連絡があった後、音信不通になったと記録にあります」
前世と現在が、入り交ざって、思考が混乱してくる。だから、やはり、前世は考えない事にしておこう。
「何となく、状況が理解できてきた。つまりは、ここが襲われたのは、俺を狙ったわけだ」
「そうですね」
しかし、最初のブレーキの細工は、下手をすれば死んでいた。
「殺すという方法もあるのか……」
「それは、純粋な脅しでしょう。研究を止めなければ、お前も殺すというようなものです」
そんな厄介な連中が、俺の周囲にいるのは困る。
「どうしたら、又、隠れられるかな…………」
「そうですね。やはり、死んだ事にするのが、一番、早いのかもしれません」
相手が諜報員では、簡単に死んだ事には出来ないだろう。
「まあ、方法を考えましょう」
すっかり深夜になってしまい、俺も眠くなってきた。それは白蓮も同じようで、ウトウトとしていた。
「後は明日考えよう。おやすみ…………」
「おやすみなさい」
朝方、あれこれ夢を見ていた感じがするが、すっかり忘れて目を開けようとした時、急に思考が覚醒した。
「将利は?」
すると、電話が鳴っていて、麻野が取って会話していた。会話の内容からすると、将利が家に帰らなかったらしい。そこで、こっちに来ていないかの、確認の電話であった。
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