しあわせのはな

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 目が覚めると、頭から葉っぱが生えていた。 「……なに、これ」  引っ張ってみても抜けそうに無い。 「おかーさーん。 この頭に生えているの、なんだろう?」 「ん?何も生えていないわよ? ていうか、頭から生えるものなんて髪の毛以外無いでしょ」  すぐにお母さんに話してみるも、お母さんにこの葉っぱが見えている様子は無い。  どうやら私だけにしか見えない物のようだ。 「……そうだね!あはは、寝惚けてたみたい……」 「しっかりしなさいよ、今日はテストでしょ? ちゃんと勉強した?」  ああ、まただ。  お母さんは私の勉強に対してとても厳しい。  もう中学2年生で、受験を視野に入れないと、って言うのは分かっているのだけれど。 「……行ってきます」 「──! ちょっと、聞いてるの!?朝ごはんは!?」  お母さんの話が嫌になった私は、朝ごはんも食べずに家を飛び出した。 「──勉強が必要なのは、とっくに分かってるのに」  通学路を1人歩きながらそう呟く。 「あーあ、簡単に頭よくなれる方法って無いのかなー?」  独り言にしては大きいような気もする大きさで話していると、頭の葉っぱが『むくむくっ』と成長したような気がした。 「──ん?」  頭に手をやると、朝見たときよりも大きくなった感触がする。 「成長してる……」  なんでだろう?  まあでも、気にしたってしょうがないし。 「早く学校行って、少しでも勉強しなきゃ」  そう、思っていた筈なのに。 (何で……?問題がスラスラ解けてく……)  何故か頭に答えがふっと思い浮かんでくる。  気付くとペンは机に置かれていて、教室の時計を見るとまだテストが始まってから10分も経っていない。 (……もしかして、この葉っぱのせい?)  私は頭の葉っぱを触る。  葉っぱは相変わらず頭に生えていて、背を伸ばしている。 (私の願いを叶えてくれる植物なのかな?)  そんなの……。 「最高じゃん!!」 「テスト中は静かにしてください」  思わず声に出してしまった私にすかさず先生が注意してくる。 「……すみません」  結果、テストは全教科満点のぶっちぎりの1位だった。 「すごいね!」 「どうやって勉強したの?」  友達にそう囃し立てられた時も、 「さすが私の娘ね。 この調子で次も頑張りなさい」  お母さんに誉められた時も、私は1つの事を考えていた。 (この植物を使えば……、私は、何でも出来る!!)  
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