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それからも、沢山の願いを叶えてもらったのだけど。
「……なんで……」
目眩だけでなく、髪や肌が乾燥するようにもなってきた。
日を追う毎に醜くなっていく私を見て、先輩から聞きたくない言葉を聞かされる。
「……俺たち、別れよっか」
「……なんで、ですか」
「なんで、って最近の君、可愛くないし、何て言うか……なんで俺、こんな子好きになっちゃったんだろうなって」
「……っ!!」
涙が浮かぶ。
「じゃ、そう言う事だから……」
そう言って先輩は立ち去ろうとする。
「……いや、いやだ……」
そんなの、嫌だ。
せっかく、先輩の為に可愛くなったのに。
嫌だ、そんなの、絶対に。
「お願い!!私だけを見て!!先輩!!」
そう花に懇願すると、植物は『メリメリメリッ』と音を立てながら成長する。
ああ、これで。
先輩は、また私を見てくれるよね……?
「、あぁぁぁぁぁぁ!!」
刹那、激痛が私の全身を走り抜ける。
目眩が酷くなって、その場に立っていられなくなる。
肌が、髪が、どんどん水分が抜けていく。
そうか、私は分かってしまった。
この花は、幸せを呼ぶ花なんかじゃない。
『寄生者』の生命力を吸って、成長して、寄生者を殺す。
そんな、幸せを呼ぶように見せかけた不幸の花なんだ。
血が、抜けていくのが分かる。
頭に手をやると、花はどんどん成長して、種を付けている。
この種がまた、別の人に寄生して、不幸を呼ぶのだろう。
そうして、また種を広げていく。
ああ、意識が、途切れる。
視界が、暗転した。
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