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「視覚に優れるなら、閃光を放つフレアを搭載しましょう」
視覚を奪っても、ほかの器官が発達しそれを補おうとすることも考慮し、聴覚用に高周波装置、嗅覚用に強力な臭いを出す装置で徹底的に感覚を麻痺させる必要がある。あらゆる感覚を奪ってもピット器官を身に付ける可能性もあるのでマシンの温度を下げる機能もいると鬼頭は熱弁する。
「集団戦を意識し、標準装備も改良しておきましょう。武装の開発チームを招集して下さい」
「さっきは怪獣のかたを持ってた割りには随分徹底的だな」
「生物の進化を舐めてはいけないということですよ」
基地の無線から技術者を呼び、武装の開発を始める。古田はかかって来た電話に対応する。怪獣に勝てない自衛隊は何をやってる? 武装は血税で作るんだろ税金返せ! 怪獣苛めすぎ動物虐待ではないのか? 紙装甲ワロタなど配信で浅見の戦いを観た視聴者からの苦情が殺到する。
「長官」
「いうな怪獣と戦っている我々のことなど、安全な所から観るだけの視聴者にはわからんよ」
「ありがとうございます」
「もういい、怪獣と我々の全面戦争になる。休めるうちに休んでおけ、怪獣はいつ現れるかわからんからな」
浅見と古田が会話をしている間、マシンの改良は着々と進んでいた。
「現在のマシンでは力比べで怪獣に負ける。右腕と左腕の装甲を強化。それを支えられるだけの下半身の装甲を強化。戦闘がスムーズに行えるように機体はスリムに絞って、それから破壊光線用にシールドを装着っ!」
「機体のエネルギーは足りるのか?」
「シリコンは今大量に売れ残ってる筈だから安く買える筈、太陽光発電で不足分を補いましょう」
「ほかの発電システムは?」
「原発はなくなった、火力を使う発電は二酸化炭素を出すから、水力も有機廃棄物もダメ、デンキウナギや痺れエイ発電は養殖所にいけば買えるけど、高いじゃない、ほかに代案はある?」
「石油を用いましょう」
「石油は今、生産がストップしてるでしょう。頼れるエネルギーはもうないのよっ!」
「わかりましたシリコンを大量にマシンに取り付けますが、何時まで持続するかはわかりませんよ」
技術者たちはシリコンの小売店に電話をかけ、注文を始める。
「鬼頭、開発中のところ悪いが次の作戦はお前も参加して貰うぞ」
「私がですか、オペレーターが不在になります」
「私がオペレーターとして指令を出す。お前も製作が終わったら休んでおくんだな」
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