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蟷螂拳の手つきで怪獣を引き寄せ、蛇拳の動きで腕を腹部までねじ込ませると、拳を当て思い切り寸頚を当てるが、怪獣は、びくんと震えただけでダメージはない。
「どうなってんだこいつら!」
無情にも浅見のマシンに群がった怪獣たちは、両手脚に噛み付き顎の力で引きちぎろうとする。
「浅見さん!」鬼頭は刀剣戦のアップデート版をダウンロードし、二刀流で怪獣に斬りかかり一閃するが、横から別の怪獣にタックルされる。
「マシンシールド装備!」
鬼頭はシールドを装備し、怪獣の力任せの攻撃を防ぐも、早くもシールドの表面がボコボコに凹み始める。口を大きく開けた怪獣は上から破壊光線を吐き、一瞬でシールドをマシンの腕ごと灰にしてしまう。
「嘘でしょ? アップデートがきかないなんて」鬼頭は絶望した。どれだけ強化しても全く歯が立たない。
「諦めるな! 戦う術があるなら戦い続けろ!」
「無理です! 叶いません!」
「だからって降参できるか! 降参かその手があったな。戦闘モード解除」
浅見は戦闘態勢を解いた。勝利を確信した怪獣たちはマシンを放し、引き返す。
「何を?」
「奇襲をかけるんだよ」浅見は引き返していく怪獣たちの背中にブレードで斬り付けていく。不意を突かれた怪獣たちは、一目散に海に逃げ出していった。
「怪獣たちの隙を作ったんですか」
「降参すれば攻撃を止めるのを利用してな。怪獣肉はたくさん確保出来たし俺たちも帰るぞ」
鬼頭のマシンの脚をつかみ、引きずるようにマシンを歩かせながら、浅見は落ちている怪獣の肉を拾い集める。
「怪獣も大自然の一部です、我々で管理しきるのは無理ですよ」
「どういうことだ?」
「次も上手くいくとは限らないってことです」
浅見と鬼頭のマシンは日本海に姿を消した。
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