共存か支配か

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共存か支配か

 「アップデートが全く歯が立たないなんて」 怪獣自衛隊本部の医務室。ベッドに横たわる鬼頭は呟く。破壊光線を直撃し酷い怪我を負っている。 「勝っても痛み分けになるほど、あいつらは強くなっている。お手上げだ」 「私に考えがあります」 怪獣はシン東京湾に集中して出現している。そこに怪獣の巣があるなら、現れたものを括弧撃破するより、巣を破壊すれば一気に弱体化出来るのではないか。鬼頭はそう述べた。 「でも悔しい」この発想に出会うまで叩き出した犠牲は計り知れないと、涙する。 「どう海中で闘う」 「巣の最新部で高周波を最大値で出して、怪獣を弱らせるんです。そしたら後は水爆で一気に巣ごと破壊しましょう」 「奴らが簡単に巣までいかせてくれるとは思えない。速い、強い、賢い三拍子揃ってやがるぞ」古田は眉間に皺を寄せる。 「マシンを、最大まで軽量化するんです。最速で巣まで辿り着けるよう脚の数を二本、他方向の攻撃に対象できるよう、腕も二本追加しましょう」 「スピードのために攻撃も防御も捨てて、最終的に自爆する訳か、たいした覚悟だな。ほかに、方法はなかったのか?」 「例えば?」 「北極に誘導し、摂氏マイナスの低温で凍結する。奴らも生き物なら低温下では生命活動が出来ないだろう」 「無駄です。彼らの適応力なら低温や高温に即座に対応出来るでしょう」 「自爆するしかないのか」 「死と隣合わせなのは怪獣を相手にする以上、日常茶飯事です。ここから具体策を話します」 鬼頭の作戦は、最初は三機で出撃し、接近しながらマシンを合体する。巣の最新部まで最速で潜り込み自爆スイッチを起爆させるというものだった。 「彼らにアップデートを促されているようで癪ですが」 作戦を説明し終えると、鬼頭は静かに眠りについた。 「俺たちもあいつらの成長を促してしまっているがな」 浅見は今回の作戦で、一つ疑問を感じた。怪獣は群れで生活しているなら、ライオンやアシカのように複数のメスがオスを囲むスタイルなのか、一匹のボスが複数に命令して動くスタイルなのか。社会性があることを考えると、恐らく後者の可能性が高い。自分が相手にしてきたのはその中の雑魚に過ぎない。雑魚であの強さなら、ボスはその数倍強いといえる。捕まれば勝ち目はないと。
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