共存か支配か

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鬼頭が治療中の間、浅見が水爆作戦の指揮をとる。技術者たちによってマシンの機体が着々と完成し、燃料用に怪獣の肉片が装填される。自爆用のプログラムも整った。 「これだけエネルギーがあれば、手からエネルギー弾を射出しても余りそうだな」 浅見の同僚、筒井が完成した機体を眺めながら提案した。進化した怪獣の肉のエネルギー含有量は想像を絶するものだった「太陽光発電と併合すればエネルギー弾の威力も跳ね上がるだろうよ」 「まるで漫画だな」 「これまで刀も銃も素手もダメだったんだろう。これくらいで対抗しないと怪獣の巣に近づけない。さしずめモンスターエンジンって所か」 「怪獣どもの親玉に一発デカイのをお見舞いしてやる。でないと割に合わんからな」 「なら俺も水爆作戦に同行させて欲しい、このマシンの最後を見届けたいんだ」 「あと一人は?」 「私もいきます」治療を終えた鬼頭がやって来る。怪我からすっかり回復していた「私も怪獣の親玉に一発食らわさないと死んでも死にきれません」 「怪我はいいのか?」 「ええ、大丈夫です」 「お前たち、怪獣どもに親玉がいると推測するのか?」 「そうだ」海上に出て来た雑魚は、巣の最新部にいる親玉の命令で、動いている。そいつを叩かない限り、こちらに勝ち目はない。浅見は、そう説明した「雑魚の数倍は手強いだろうがな」「怪獣どもはシン東京湾で何がしたいんだ?」 「謎だ。何時からいて、何をしていて何のために人を襲って来たのかわからないが、生き物であることは確かだ」 「我々人類が、エネルギーのために乱獲してきたことに報復をしてきています。痛み分けでは報復の応酬を産むだけ、だから一回で終わらせる必要があるんですよ」 「終わらせてどうするんだ? こちらが怪獣どもを一方的に狩るのか?」 筒井の口からこの作戦に対する疑問が溢れた。 「共存するか、どちらがどちらかの支配下になるか、滅ぶか、何れも善し悪しな結果に終わると思います。最悪」 「最悪、なんだ?」 「答えは出ないかもしれません」
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