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「ユスティティア、許せ」  金髪に白髪の混じった壮年の男が、深く息を吐いた。 「お父さま、そんな風におっしゃらないで。今まで城に置いてくださったご厚情、感謝の意に耐えません。これからは、国の繁栄と、みなさまのご多幸を陰よりお祈りいたします」  そう言ったのは、白銀の髪にルビーのような赤い瞳をした少女だった。彼女の持つ色は異質であったが、それ以上に目を引くのは、その顔立ちだ。小さな顔に、細い首。こぼれそうなほど大きな瞳を縁取るのは、きらきらとした銀色のまつげだった。小さく真っ直ぐな鼻に、控えめな唇は皮膚が薄く、紅を刷かなくとも薔薇色に色づいている。絶世の美貌がそこにあった。  ユスティティアと呼ばれた少女は、国王である父に深くカーテシーをして、城の外で待っている馬車へと向かった。深い夜のことだった。
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