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2.
「ユス!」
彼女に駆け寄ったのは、鮮やかな金髪を持った二人の男女だった。その面差しはよく似ている。
「お兄さま、お姉さま」
ユスティティアは顔を綻ばせた。
「今日出発だなんて、父上は言っていなかったぞ」
「ああユス、何もできなかった私を許して」
悲壮な顔を浮かべる二人に、ユスティティアは穏やかな顔で言った。
「お二人とも、異色のわたくしを可愛がってくださり、本当にありがとうございました。わたくしこそ、王家に生まれながら、王族の務めを果たせなかったこと、どうかお許しください」
「ユス、そんなこと言わないで!」
姉と呼ばれた娘が叫んだ。
「ユス、困ったら俺に連絡を。きっと力になるよ」
兄と呼ばれた青年が、悔しそうに拳を握った。
「お兄さま。王太子としてのお務めはきっと大変なことだと存じます。どうかお体に気を付けて」
「お姉さま。もうすぐ隣国の皇太子の元へお輿入れですね。お姉さまの隣国での生活が幸せなものとなりますよう、お祈り申し上げます」
ユスティティアは二人と抱き合ったのち、二人に微笑んで、そっと離れた。
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