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レベッカの過去 3
オーランド王国の王宮へ連れて来られた私とミラージュを待っていたのは過酷な労働だった―。
始めて馬車に乗せられて王の間に連れて来られた私は、父と名乗る国王の前に立たされていた。そしてこの国王は若干7歳の私にとんでもない事を言って来たのだ。
「良いか?我が国は…はっきり言えばあまり裕福では無い。つい最近も10人程給金を支払う事が出来ずに使用人を解雇してしまったのだ。人手不足なのだよ。あいにくここに住む姫たちは王宮育ちだから何一つ身の回りの事が出来ぬ。なのでお前が代わりに娘たちの世話をしてくれ。まだお前は7歳だが、あんな山小屋に侍女と2人で生活してきたわけだから一通りの家事仕事等はお手の物だろう?お前は役に立つと思ってこの城へ連れてきたのだ?分かるな?」
あまりにも凄いことを行って来る父に私は尋ねた。
「もし、嫌と言えばどうなるの?」
すると父が言った。
「何…お前は断れないよ。私の言う事をずーっと聞けば…そうだな。お前が20歳になった時に母親の居場所を教えてあげよう」
「え?!本当ですかっ?!」
するとそれを聞いたミラージュも声を上げた。
「その話…本当なのでしょうねっ?!嘘ではありませんねっ?!」
「ああ、嘘は言わぬ。あの女はワシの望んだ男児は産まなかったが、何やら不思議な力を持っていたからな?」
そして国王は私から離れ玉座に向かい、キンピカに輝く玉座の椅子に座り、足を組むと言った。
「この世界には…不思議な力が働く海域があってな…。その場所は不思議な力で封印されておる。そしてその封印はある指輪によって自由自在に閉じたり開いたりさせる事が出来るのだ。その指輪の持ち主はな…」
国王はフッフッフッと笑うと右手を開いて、手の甲を私とミラージュに向けた。
その中指には、不思議な輝きを放つ青い宝石の付いた指輪がはめられている。
「この指輪の持ち主だけがその封印を自在に操れるのだよ?…ここまで言えばもう分かるな?レベッカよ」
国王はニタアッと笑って私を見た。
「私が20歳になるまでお父様の言う事を聞けば、お母様のいる場所を教えてくれるって言う事?」
すると国王は満足げに頷いた。
「ああ、そうだ。分かったな?20歳になるまでお前はこの城の為に働くのだぞ?もし他にもワシの為に役立てる事をしてくれれば…20歳になる前に母親の居場所を教えてやろう」
「分かりました。その代り私が役立てば、必ずお母様のいる場所を教えて下さいね?」
「ああ、約束しよう。仮にもお前もワシの可愛い娘だからな?」
そして、私はこの時から、姫と言う立場でありながら姉姫様達の下女としてこき使われる日々が始まった―。
****
私が城に来てから3年目の事だった―。
「レベッカーッ!レベッカッ!」
1番目の姉が私を呼んでいる。丁度その時私は2番目の姉のドレスの着がえを手伝っていた。
「お姉さま、一番上のお姉さまが呼んでいるわ。私行かないと…」
「何言ってるのっ?!そんなのはあんたの侍女に任せなさいよっ!今レベッカは私の着がえを手伝っているのでしょう?!」
「無理よ、ミラージュは今畑仕事に行かされてるのだから」
必死で姉の背中のドレスのホックを止めると、急いで一番上のお姉さまの元へと走った。
「失礼します、お姉さまっ!」
バンッ!
扉を開けるや否や怒鳴られた。
「遅いっ!」
ヒュンッ!
そしてブラシが飛んできたので素早くそれをキャッチした。なるほど…ブラシで髪をとかせと言う事ね。
「お姉さま、それでは髪をとかせて頂きます」
そして私は16歳になる姉の髪をとかし始めた。
「いい?丁寧にとかしなさいよ?この間、ぐいぐいとかされて本当に痛かったんだからね。」
「はい、分りました」
私は姉の髪をとかしながら思った。
早く嫁にいってしまえ!
と―。
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