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 みなさん、初めまして。ぼくの名前は檜山累。小学3年生の9歳です。  ぼくの兄は、ぼくが生まれる前にとても幼くして亡くなった。その後生まれたぼくは、兄と同じ顔をしていた。  男にしては美しい顔だ、と小さい頃から言われてきた。だけれど、この顔で良かったと思ったことはただの一度としてない。  ぼくの顔は兄の焼き直し、まがいものだ。そしてぼくの人生そのものも。ぼくの母は小さい頃からそれは大事にぼくを育てたけれど、彼女の目がぼく自身を見ていたことはやはりただの一度としてない。  「累くん、行ってらっしゃい。心配だわあ、本当に私もついて行かないでいいの?最近は、登下校の際も色々と心配だから」  「大丈夫だよ。お母さん。みなとと一緒に行くから。心配しないで。それじゃ、行ってきます」  
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