Rainbow Love.

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冬が終わって、人々は新しい道を歩み出す。 そしていつか春が来るように、気づけば大人になっていた。 キミと並んで歩いた日は、遠い昔のことに変わっていって。 きっと僕はまた、時間をかけて、忘れられていく。 いつだってそうだ。誰だってそうだ。 いつか僕も誰かの思い出の花瓶の中、一人寂しく咲く花を思わせるかのように、 綺麗に美化されて消えていくのだろう。 分かりきっていることだから、今更怖いなんて思わない。 だけど、どこか虚しいんだ。 キミはどうだい? キミは誰かに忘れられても、虚しくはないかい? …返事なんて返ってこない。もちろん分かってる。 僕はあの時から、ずっと恐れていた。 いつしか出来た空白が、キミで埋まってから。 ポッカリと空いてしまった大きな穴を塞ぐように、キミは僕の傍にいた。 いつか、キミが僕の人生という音楽の中のメロディーになった。 欠けてしまえば、もう二度と手に入らない。 それほどまでに大切だったんだ。 遠くない未来、煙になって消えてしまう前に、もう一度だけ笑い合いたい。 気づけばそう思うようになっていた。 現実はそうも行かないんだけどね、 流れていく季節と共に変わっていく僕を怖がるキミと、 変わってしまったことを責め続ける僕の間には、 境界線が引かれて、その上にどんどん壁ができていく。 それを感じる度に、虚しくなって、笑えなくなって、 何度も泣いて、泣き疲れて、 キミがいた場所を、誰かの愛で埋めようとして汚れていった僕を、 まだキミは愛してくれますか? キミには、僕が伸ばす手を拒む選択肢もある、 僕を嫌いになる選択肢もあるんだ。 キミがどんな選択肢を選んだとしても構わない。 そうやって(こい)を経験して、 また移ろいながら、長いレールの上を歩いていくから。 それが人生だから。            Rainbow Love. Fin,
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