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美都子にへべれけで絡むのをゲラゲラと笑いながら見てるのは、同じく私たちと同期の八束 麗央。私と美都子は一般事務で採用だが、彼は総合職というエリート採用。あと噂によるとよく近くのコリドー街で同僚たちとナンパし、命中率は脅威の90%超えとのことらしい。
そんなうちの職場で5本指に入るイケメンならぬプレイボーイが、なぜか私の失恋慰み会場にいるのだ。まあ真実は帰り道に私と美都子が飲んでるのを見つけて面白半分に参加してきたんだろう。
「八束くん、今日はいじめるの勘弁してあげて……この子来年結婚する予定だったのにそれがおじゃんになったのよ。」
今は10月。私は彼から8月にプロポーズされ、来年に結婚するいわゆる婚約状態だったのだ。
いつもは私をからかってくる八束なので、今日も私をいじめてくると思ったのか美都子がフォローしてくれる。
「ナデコ………。」
だが、それが逆効果だったのか、八束は温かい目で私を見てくる。なんだろう。それはそれでカチンとくるな。
「ふうっ………どーせっ!!男なんてステータスでしか女を見てないんでしょ!?女は男をステータスでしか見てないとかいうくせにそっちだっておんなじじゃん!!!」
私だって、私だって一途に誰かに愛されたい。元彼は今の彼を含めて四人。みんな浮気で破局した。
一人目は大学一年生というステータス、二人目は女子大生というステータス、三人目、四人目は丸の内OLというステータス。
「八束、あんただって女のことステータスでしか見てないんでしょ?」
まぁこいつの場合は元々色素が薄いのか白い肌に女の子みたいなぱっちりの茶色みがかった瞳、そして透き通るようなグレーの髪。
悔しいが本人が圧倒的美だからこそ、余計女なんてモデルとかじゃなきゃ満足しなさそう。実際コリドーで逆ナンされると顔が良くなきゃ断るなんて噂もあるくらいだ。
「さぁ〜どうだろうな。少なくともナデコのような波瀾万丈な恋はしたことねえや。」
そう言ってケラケラ笑いながらハイボールを流し込む八束を、美都子が宥めるように止める。
「ごめん撫子。そろそろ8時だから私帰るね。撫子も今日は早く帰ってゆっくり休みな。」
黒髪ロングヘアのザ、アジアンビューティである我が同期の美都子は、既婚者のため早々に退場宣言をする。
美都子も帰るし私もそろそろ帰るかなぁ……まだ飲み足りないけど、明日も仕事だしなぁ。
そして、重い腰を上げると、手首を掴まれぐいっと引かれる。後ろを見ると、ニコニコと笑った八束が引き留めていた。
「やっと捕まえたんだから、もう少しいてよ。」
酔っ払った私は、これがどういう意味なのかわからず、しかも飲み足りないから
「美都子、後は八束に付き合ってもらうから今日はいいや〜。気をつけて帰ってね!!!」
美都子は訝しげな顔をしながら、あんたら店に迷惑かけないように飲むのよと一言残して去っていった。
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