深夜二時、交差点にて

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「ま、フラン云々はね」 「正直に教えてくれないか、どこまで本当なのか」 「少なくとも、死んだ後も魂が残るってところは信用してくれていいよ。現にこうしてここに一人いるんだし」 「それじゃ、あの世の存在は?」つかみかからんばかりの勢いで、彼は訊いた。「ここじゃない世界が、どこかに存在するのか? あるとしたら君は、どうして、どうやってこちら側に留まったんだ?」  切実そのものの声で、矢継ぎ早に質問を投げかける少年。その鬼気迫る表情に、さしもの女も少したじろいだ。照れたように頬っぺたを掻きながら、あさっての方を向く。 「お、落ち着きたまえ、落ち着きたまえよ少年。やだなー、お姉さんこういう押しには弱いんだよなーはっはっは」 「はぐらかさないでくれっ!」  まるで寒さに堪えるかのように両手で自分自身をかき抱きながら、彼は吐露した。 「僕は死ぬのなんて怖くない。地獄だってへいちゃらだ。死んだ後にそんなところへ行けるのなら、むしろ本望さ。僕が本当に怖いのは無なんだ。死んだら自分の意識はどうなるのか、まるで電灯のスイッチを切るみたいに、痕跡一つ残さず消えてしまうのか? ……そんなことを考え出すと、夜も眠れなくなるっ!」  最後の方は、半ば悲鳴じみた声だった。  彼女はあくまで平静だった。しばらく口元に手を当てて何やら考え込んでいたが、ややあっておもむろに口を開いた──気づいてか気づかないでか、その声はどこか自嘲的な響きを帯びていた。 「魂の重さの話、知ってる?」
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