幻想学園。

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幻想学園。

ーまず、この画面の先にいる貴方に聞いておこう。貴方は、”平行世界”というものを知っているだろうか。 簡単に説明すると、パラレルワールドみたいなものだ。 その”もしも”の世界は、何千何万と無限大にある。 ここではその平行世界は”OF”とでも呼んでおこう。これは、その”もしも”の世界の一つの物語である。 この世界の『題名』は…おっと。そろそろ時間のようだ。 それでは、この摩訶不思議な世界を楽しんでいってもらいたい。 ザー…と、荒れ果てた荒野に一人、 少年は虚空を見上げながら豪雨に打ちひしがれていた。 ズッ…と不気味な音を立てて、少年は空に文様を描いて禁術を発動させた。 『……これで良い。後悔なんざない。だから──………!!』 そして、そして、そして、そして―――…この瞬間……世界の認識が、大きく変わったのだ。 第一話〘停滞していた時間〙 『やっぱ、春っていいな。』 桜が散り始めたこの季節に、 少年は一人通行路を歩きながらそう独り言を呟いていた。 (『僕は月華鈴。今日この学園、 詳しく言うと幻想学園ってのに入学する新入生の16歳だ。』) 鈴『気温は丁度いいし、花見もできるし、何より桜が綺麗だ。』 少年は通行路の道端の木に咲いていた桜を見上げながらそう言った。 ?『あ、見つけた…!おーい!鈴ー!』 その人物は鈴に手を振りながら呼びかけた。 鈴『……ん?あ、アイツは……』 少年はその人物に気づくと、顔が青ざめながら逃げ出そうとした。 ?『あ、待てーーっ!今日という今日こそは一緒に登校してやる!』 鈴『お前はなんでいつもそう 意味のわからない理由で僕を追いかけ回すんだ!?』 (この僕を追いかけてきてる奴の名前は愛奈。幼馴染みで茶髪のショートヘアをしている。ずっと僕を追いかけてくるしつこいやつだ。本当に勘弁してほしい。) 【少年逃走中…】 愛奈『ぜぇ…ぜぇ…んもう!ホントに逃げ足も速いんだから!』 少女は息切れながら地団駄を踏んだ。 鈴『…よし、ここまで来れば流石に あの筋肉脳筋馬鹿も付いてこれないだろ。』 『…ふぅ。』と、安心しきってた瞬間にまた筋肉馬鹿の声が聞こえた。 愛奈『こっちかぁーーー!!?』 鈴『うげっ…まだ付いてくんのか』少年は再び走りだした。 そして裏路地を見つけて 鈴『…ここだ!』 と、少年は裏路地に入っていった。 愛奈『どーーこーーだぁーー!!』と、少女は裏路地を素通りして行った。 鈴『よし、危機は去った。』少年は安心しきっているため歩き出した。 鈴『〜♪』鼻歌を歌いながら裏路地を出ようとして歩いていると、 一人の少女が道端に横たわっていた。 鈴『〜♪……ん?』その少女の存在に気づいたのか、少年は歩みを止める。 鈴『……これ、もしかして捨てられたとかか?だけど僕と年齢はそこまで変わらないような…』 少女を見つめながら少年は少し唸った。 『…とりあえず、僕の家まで連れてくか…』 少年はそう面倒くさそうに言うと、《能力》を使って自宅まで移動した。 鈴『まず、着替えとか持ってくるか。』 少年はどこかの部屋に行くと、すぐさま戻ってきた。 鈴『…っていうかどうやって起こそう?』 少年が一人唸っていると、少女の方から目を覚ました。 ?『…ん。』 少女は、ゆっくりと目を開けて言った。 ?『貴方…鈴?』と。 鈴『……は?』 これが、全ての、僕の、 世界が変わるキッカケだとは、僕はその時微塵も思っちゃいなかった。 そうして……物語は始まりだす…止まっていた時間が動き出すのだ。
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