彼氏君の健気さと色欲と

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ピンクの壁紙にはたくさんの星と花が描かれていて、間接照明は星形のオーロラカラーになっているのがまたかわいかった。 背もたれには沢山の星形のクッションと大きな雲型の淡いピンクのクッションが置かれている。 メニュー表もとても凝っていて、うさメロが至る所に描かれていてキュートだ。 「いちごミルクに練乳ホイップ添えとか美味しそう!」 しかも飲み物にはうさメロコースターがついてくる!めっちゃ可愛い!! すると、先程店員さんがつけるよういわれたうさ耳カチューシャがぴょこぴょこ跳ねるように動き出した。 「え、なにこれ動いてる!」 「よく出来てる仕掛けだね。さっき店の入口にもカチューシャのこと書いてあったよ」 野木くんが近くの柱に貼ってあるポスターを指差す。 あ、よく見たら壁にうさ耳カチューシャについての説明が書いてあった。 どうやら楽しそうな声に反応して動くようになっているらしい。 流石、夢と宇宙のファンタジーものキャラクターだ。忠実に再現しようと頑張ってくれた発案者には感謝する他ない。 「野木くんの特技?状況把握するの早いよね!さっきも、高い所に座る私に気遣ってスカート丈直してくれたり、上着まで膝にかけてくれたり」 呼吸するみたいなしなやかな動きで驚いていることを伝えれば、「そうかな?」なんてとぼけている。 「なんか大人の雰囲気あるもんね、野木くん。他の男の子とまた違う空気纏っているというか」 「身長高いからそう感じるだけじゃないかな?」 「謙遜しなくていいのに!凄いし、私も見習いたいもん」 「いや、俺がただいろんな場数踏んできただけで、乙葉はそのままでいて」 一体どんな修羅場をかい潜ってきたんだろうと言わんばかりの深刻な表情をして言ってきた。 モテる男の子って大変なんだな。そう思った乙葉だった。
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