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「来てしまった」
昨晩、ラブホ街に行くのに勇気がいると思って早めに就寝。
大人っぽい服装にしなくては!と奮闘していたら時間がかかってしまった。
「もうお昼の時間になっちゃったなぁ。この辺に大きな窓があって見渡せるお店あるかな」
トップスはふんわりシルエットのホワイトTシャツにして、ボトムスは黒のフレアタイプのロングスカートにし、足元は厚底の白いサンダルにしてみた。
普段はしないモノトーンコーデである。
ウエストをホッソリとみせてくれる黒のスカートは、腰あたりに太めの黒ベルトで絞ってあるため、よりラインを強調できる。
髪の毛もふんわりパーマをかけ、片耳に髪の毛をかけた。普段はつけることがないワイヤーイヤリングをみにつけたり、マリンを意識したゴールドの貝殻のネックレスを下げてみた。
ショーウィンドウに大面の鏡が設置されているのをみかけ、さりげなく身だしなみをチェックする。
大人っぽく見えてるかな?
大学生くらいには見えていてほしいんだけど。
駅前だということもあって、昼間でもかなりの人並みである。
ショーウィンドウが多いこの辺りよりも、この先にあるラブホ街に向かわねばならないのだが、まずはどの辺のラブホに住んでいるのか、情報収集する必要がある。
野木くんはホワイトブロンドだから、きっと手がかりはあると思うんだけどな。
今日には見つけられますよーにっ!
野木くんになんていうホテルの名前なのか聞き出そうとしたのだが、勘が鋭いから教えてくれないだろう。と思い、メッセージは送っていない。
ラブホ街近くのカフェが通り沿いにあり、ガラス張りの店内だったので入ることにした。
窓側席はカウンターになっていて、外を見ながら食事ができるようだ。
注文カウンターでサンドイッチとアイスミルクティーを注文して、席につく。
焼きたてのクロワッサンのにローフトビーフがたっぷり入っていて、とてもいい匂いがする。
彩りにトマトやサニーレタスが入っていて、お腹が喜ぶ。
サクッとした食感に舌鼓していると、肩をポンポンと誰かに叩かれた。
驚いてサンドイッチを口に頬張ったまま振り返る。
真っ白な肌にサングラスかけた男の人が立っている。まったく見覚えのない人で、思わず怪訝な顔をしてしまった。
「おねーさん、今1人ー??」
「はぁ」
「オレ暇してるんだ。奢るからオレと遊びにいかない?」
ナンパってやつなのだろうか?
もぐもぐと口の中の物を飲み込んでからなんて答えるか悩んだ。
反応がなかったのが幸をなしたのか、男の人は舌打ちをして店外へと出て行った。
良かった。反応が悪いせいか何も言わずして立ち去ってくれた。
その後、何度かナンパの為に声をかけてくる男性が後を絶たなかった。
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