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なんだかゆっくり出来ないお昼ご飯になってしまった。
まだ何もしていないというのに、変に気疲れした。
カウンターに誰も座ってなかったのが逆に目立ってしまったのだろうか?
「ありがとうございましたー」
綺麗な店員さんが背後の注文カウンターからそう声をかけてくれる。
「あの、この辺で白髪というか、ホワイトブロンドで身長の高い、綺麗な男の人を捜してるのですが見かけたりしてませんか?」
通り過ぎる前に振り返り、そのまま店員さんに聞くと、綺麗な女の子が思い当たる人がいたのか、あー!と言って頷く。
「そこのラブホ街によく出入りしてる子だよね?めっちゃイケメンだよね!」
お姉さん逆ナンしたいの?とニマニマしながら言われ、首が取れるんじゃないかと思われるくらい横に振った。
「その、その人に用事があるのですが」
ほんのり照れながら俯きがちに尋ねると、その子は手をヒラヒラ振って言う。
「遊びとかなら良いけど、あの子は本気にしちゃダメなタイプだよー?この辺じゃ良くない噂ばかりだし、貴方みたいな純粋そうな子には難しいと思うけど」
わぁ、野木くんの噂は街のお店にまで届いてるんだ。
美形は良くも悪くも歩く広告になってしまうんだなぁ。
「とても優しい印象なので噂が1人歩きしてるだけだと思うんですけど」
勝手に野木くん宅を探してる申し訳なさもあって、少しでも噂が無くなるように噂を訂正しておこうと思った。
しかし、店員さんは変わった子〜と笑う。
「この辺では有名よ。深入りすると危ないからね!最近では新しく改良された危険ドラッグが流行ってるみたいで、その男の子が配ってるって噂よ」
訂正しようと思っていたのに、また新しい噂が更新されてしまう始末だ。
お礼を伝えて店を出た。
彼が出入りしているだろうラブホテルは、いくつかあるようで挙げられたホテルを回ってみることにする。
ラブホ街へ向かうと、お昼であっても居酒屋ランチが開いていたり、チェーン店があったりで賑わっている。
人が多いなら少し安心できる。
が、キャッチも多く再び断ることに注力することになり、既にぐったりだ。
「おねーサーん夏のサマーキャンペーンで、今なら女の子タダでお酒飲めちゃいますよー!」
「キミ可愛いね〜!一緒にカラオケしない?」
「可愛いからこれサービスするよー」
繁華街、凄い。
ポケットティッシュだけでなく、化粧品とかお菓子とか色々あるんだな。
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