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7階のボタンが光っているのを見る限り、部屋は7階なのだろう。
静かなエレベーター内で、目の前にいる男性がいつの間にか缶ジュースを持っていた。
「キミ17歳なの?ヒュ〜」
テンションが上がっている金髪の男性は、手にしていた缶ジュースを差し出してきた。
「まだまだ若いなぁ!じゃあこれで乾杯しよっか!」
「え、これお酒なんじゃ?」
「大丈夫。これ、ノンアルコールだよ。炭酸系大丈夫?」
ノンアルコールなら飲んでも平気なのかな?
けれど、ノンアルコールと言ってもお酒微量に入ってるって聞くし、飲み物も買ってある。
「でも、私さっき水買ったので」
「ラブホテルに来たらコレを飲むのが常識なんだよ、17歳の女子高生ちゃーん?」
急に声が低くなり、先程とは違う声音だった。
思わずたじろぐ。
顔は笑ってるのに、なんだろ。
「外暑かったんだし、飲み物も開けちゃったから飲んじゃってくれる?」
確かに喉が乾いている。先程買った水は首に当てたりしていただけで、まだ封すら切っていなかった。
「頂きます」
口が開いた梅酒と書かれた可愛らしいパッケージの缶を受け取り、唇を当てた。
目の前のエレベーターの戸が開き、7階に着いたのだと理解した。
「ここの部屋だよー。カバンとか預かっておくよー」
スマホが入った白いポシェットを取り上げられるように取られ、カードをかざすと、がチャリとロックが解除した音が廊下に響いた。
ノンアルコールのそれをゆっくり飲みながら、部屋に入れば間接照明が至る所にあり、とても雰囲気が良い。
小汚いイメージがあったが、普通のホテルよりオシャレでテンションがあがり、ついつい手にしていた梅酒に口をつけてしまう。
「ラブホテルってこんな綺麗なんですね!」
すごーいと瞳をキラキラさせていると、クラりと目眩がした。
あれ、なんかすごく眠たくなってきた。
気がつけば床に倒れ込んでいた。
目の前にいる金髪の男性が戸を開ける。
「入れ入れ。お前は見張りしとけよ。分かってるよ、後で交代な」
下品に高らかに笑った声が部屋に響く。
金髪の男性の後ろに先程エレベーターの中で一緒だった人が立っていた。
「梅酒効いてきてんだな」
「あぁ、全く未成年なのにお酒なんか飲んじゃダメでしゅよー?」
お酒?
どーゆーこと?
「あ、やべ!キメセク入れ忘れてたわ」
「ばーか。段取り悪すぎんだろぉ」
「入れないとこの子とべないな」
「まだ起きてっから、なんとか飲めるっしょ」
「お前飲んだ?」
「飲んだ飲んだ。そろそろ効き目出てくる頃かもー!」
「いや効いてきてんなw
無駄にテンションたけぇし」
何?どーゆーこと?
意識が微睡む中、長身の黒髪の男に抱き抱えられ、キングサイズのベッドの上に横たえられる。
金髪の男が水とピンク色の錠剤を持っていた。
「ほーら、お薬のお時間でちゅよー?」
「言い方きめぇww」
「お前ここに座って、この子支えててよ」
「わっ、お前それ半分に割らずに飲ませんの?鬼畜だわぁ〜」
「オレ今日張り切っちゃってるからサ〜。早くハッスルしまくりたいわけよ!ほら、まだあと2人いるし、部屋も一泊にしたから」
やるねぇ〜と盛り上がる男たちを仰ぐように見上げていた。ベッドの上に長身の男が座って、その人の胸の中に身を委ねるようにグッタリとしてしまう。
どうしよう。身体に力が入らない。
なんか、思考も上手く働かない。
なにこれ、どうなってるの?
「だめだ、口が開いたままになる」
「どーすんの?」
「そー言う時は〜」
金髪の男が乙葉の上に馬乗りになり、錠剤と水を口に含み、グッと唇を押し当ててきた。
それを拒絶する術もなくて、受け入れてしまう。
「うはぁ、唇めっちゃやわらけぇ」
「スイッチ入っちゃってるなー」
舌を入れ込まれ、口内を乱暴に暴れていく。
かすかな意識がそれを拒もうとしているが、体がピクリとも動かなかった。
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