彼氏君と私

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私の日記に野木君という名前を書いてしまうと「彼氏」という意識が薄まっていか気がして、「彼氏くん」と表現することにした。 今日は彼氏くんの噂を聞いた。 どうやら彼はラブホへ出入りしているとのことだ。 私が彼女の立場であるなら、この噂の真相について問う立場であるのだろうが、果たして私は彼氏くんの彼女であるのだろう、か? それより、なんで私に告白してきたの?! ぼてっとしたフォルムのウサギ柄が印刷されたボールペンが手から机上に転がっていく。 最近の日記の内容は彼氏くんの話題ばかりだ。 あぁ、私の真面目ライフに彼の存在がインパクトありすぎる、、、。 日記をパラパラとめくり眺めるも、彼を好きになる要素も好きという気持ちすらない。 こんな状態でいいのかな。 悶々とする気持ちの中、等身大鏡には床に座って顰めっ面をした私がそこに映っていた。 「私のどこがよかったの?」 自分に問うように鏡にそう呟く。 茶色がかった大きな瞳はどこか心細く、不安に押しつぶされそうに訴えているようで。 「高校生活、こんなふうに始まるなんて誰が想像できたんだろうなぁ」 化粧っけもない。オシャレもしない。ただ私は普通の高校生になろうとしてた。 それだけなのに。 彼氏が謎すぎて、普通の高校生生活を送れない。 白とグレーを基調にした部屋は、高校生になったお祝いとして1人部屋を用意してもらった際に壁紙を新調してもらったのだ。 将来はインテリアデザイナーになりたい。 家具はイズキブランドにに統一させ、自分の趣味を詰め込んだ部屋にいて癒されるのが乙葉のストレス発散である。 が、この自分の部屋にいても尚、野木 渚という人物が頭から離れずにいるおかげでリラックスができない。 恋愛のれの字もなかった私の人生。 憧れや少女漫画のような展開に胸をときめかせる乙女でもある‼︎ なのに‼︎なんで普通の恋人みたいなことできないわけ?! あ、その前に私が彼を好きな気持ちがないのもいけないよね、、、。 そもそも好きじゃないのに付き合ったりしていいものなのか、、、。
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