妄想彼氏と乙葉ちゃん『完結』

彼氏君と私

まさか、彼と結婚することがこんなにも大変で、過激で、波瀾万丈な毎日が待っているなんて、誰が想像できただろうか？

私は、ただ普通で、平凡すぎるほどにトントンな生活をするものだと思っていた。

野木くんと出会う前までは。

中学生の時、どこかの中学生が大人をボコボコにして警察沙汰になったとか、ラブホから中学生が出てきたとか、ニュースの一部を抜粋されたかのような噂を周囲の子達が話していた。

その噂の人が、高校に入ってきた転校生で、初めて告白してきた人だったなんて、私は夢にも思わなかったのです。

だって真面目に生活していたのだから。
真面目が取り柄の私だったから。

その男の子は、左唇に生傷を負い、左手に痣を作っているのが見え、完全に私は怯えていた。

目の前に、背が高く、童顔なのに大人じみた雰囲気を漂わせて、灰色と青みがかった瞳が真剣に見つめて、私にこう言う。

『好きです。僕と付き合ってもらえませんか』と。

彼は、今日転校して来たばかり。
そして、今、先生が彼の自己紹介をしてほしい。と、促した直後だったんだよ、ね？

なんで、こんな展開になったの？

教室内は一瞬で凍るような空気に変わったのを今でも忘れない。