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孝蔵は家の外から声を妻にかけた。
妻は玄関を開けてくれたので孝蔵は中に入ることができたのだった。
「何かあったかい? 捕縛でもしたの」
「いやどうして?」
「帰るのが遅かったから私は心配したよ」
「これはかわいいな」孝蔵は思わず口にした。
「何言ってるんだか」
「飯はまだなのか?」
「待っていたよ」
「誠か?」
「何かっこつけているのよ」
「飯食おう」
「もしかして酒呑んだのかい」
「ほんの少しだけ」
「まあいいわ。晩飯を食べましょう」
妻のさいは台所からおせち料理を持って来た。
「うまそうだな」と孝蔵は両手をこすり合わせて食べはじめた。
「酒はいらないだろ」
「あまりやる気はないな」
「だと思った」
「どうしてわかったの?」
「たまたまだよ」
「怖えな」
「あんたには負けるよ」
「今晩はここで寝るよ」
「二階には行かないのかい?」
孝蔵は酔って二階に上がる自信がないので下で寝ようとしていた。
「そうかいそれならやここで寝てください」
「ありがとう」と孝蔵は寝はじめた。
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