人はそれを運命と呼ぶのだろう

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 冷たい目をした少年だった。その歳に似合わない、この世のすべてを見下し、暖かな感情などひとつも無いといったような、凍てついた瞳。  泣きじゃくる妹を背に隠して、精一杯の虚勢を張りながら少年を睨みつける。  妹を守るのは自分の役目だ。他人は勿論、母に頼るなどという選択肢も存在しない。  少年が真っ直ぐに向けてくる冷たい瞳が映すのは己か、それとも妹か。それすら頭にはなく、ただ目に力を込めて少年を睨みつけた。  妹を泣かせるモノはすべて敵だ。  アルファは――敵だ。
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