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小柄で細身の可憐な少女――。
西城にとっても憧れだった心美の美貌は、数倍化したであろう身を纏う脂肪によりまるで別人のようだった。
「……」
美容業界の最前線で活躍する彼にとって過去に恋心を抱いた女性の変貌ぶりに深い哀しみを抱いたのか、現実を受け入れるだけの時間が必要だったのか、その真相は分からない。ただ、日々同じ悩みを抱える女性達を目の前にしても一瞬で表情を変えた彼の驚きは相当なもので間違いないだろう。
「優斗……、これ、写真加工してないだろうな――」
何処の世界に自らの愛する妻の写真を肥大化させ、親友に見せる夫がいるだろうか。彼の想いを裏切る様に武田は答える。
「これ、二ヶ月前で、今はもっと……」
そう告げて、言葉を失った。
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