悪魔ドーナツがあざ笑う、ダイエットストーリー ―ある夫婦の愛のカタチ―

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 西城から助言を受けたダイエット方法。それはリバウンドを如何にして極限まで減らすかを重点的に計算されたものだった。その為には急激な運動や食事制限は逆効果。ゆっくりと長く確実にダイエットと向き合うために、生活習慣へと落とし込む。  をするとなる。毎日、何の負担もストレスも無く当たり前の様に行われる歯磨きや、トイレ、そんな日常に自然と溶け込ませることが重要だと教え込まれた。 今までと変わらない食事や量を心がけていい、そう告げた意外な言葉の裏に隠された彼の助言、その一つがを持つ事。大切なのは本人ではなく、パートナーがその数値を記憶する程執着を持つ事だと告げていた。  大好きなスナック菓子を辞めさせるのではなく、逆に買い込み食べ与える。但し、そのお菓子の種類は普段彼女が口にする商品よりも低カロリーの物に限る。本人は罪悪感を何処かに抱きながらも口にするポテトフライも、気が付かないうちに低カロリーへとすり替えられている。 脳医学的にはお菓子を口にしたと言う認識だけで単純に満足する物らしい。どうしても味に拘りがある場合は、自然に口にする量を減らす様に小分けサイズなどを買い込み、仮に二袋口にしても従前よりも総カロリーは低くなれば一歩前進だと彼は言い切っていた。 この方法は心美は何の疑いもなくいつしか自然に受け入れるようになり、知らないうちにお菓子による接種カロリーは以前よりも減る事となった。ダイエットを始めて以降、面白いことに自宅に取り置きのお菓子類が増えた事実は驚きだった。  次に指示されたのは、間食ではなく主食にも展開させる事だった。基本的な炭水化物を減らす事に合わせ、カレールーを一つあげてもカロリーは様々である。各種メーカーを吟味し、普段彼女が料理する調味料も低カロリーとなる商品を探し求めた。マヨネーズ一つとってもそれは簡単に対応する事が出来た。以前よりもキッチンに並ぶそれらの類は確実に低カロリーの物へと変化してゆく。 「ここのメーカーの味、美味しいね」  ただ、そう発言するだけで、彼女は何も気が付く事無くリピートしてくれる。
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