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カフェの窓際に座って外を見ると奴が気だるそうに歩いて来た。
「久しぶり!」
「あぁ、ごめんな忙しかったから。何?渡したい物って」
「ごめん、まだ仕事抜けて来てくれたの?」
わざと白々しく聞いた。
「いや、今日は久里とゆっくり会いたいから早めに切り上げた」
「ありがとう……これなんだけど」
「何?アルバム?」
「そう、ビックリするアルバム」
意味ありげに微笑みを向けた。
奴は面倒くさそうに表紙を開けた。眉がピクリと動いた。空かさず私は聞く。
「まず、この方とこの方とこの方とこの方はどういうご関係?」
奴の顔があおざめ、唇と指先が震えている様に見える。
私は奴が何か話し出すのを黙って待っていた。
「こんな写真だれにいつ頼んだ?お前に何の権利がある?」
「はい、一応まだ彼女なので……調べさせていただきました」
「ただの彼女がここまでするかっ?」
回りがいるので声は抑えているが、明らかに怒っている。
「はい、ただの彼女ですが……はじめは歩かに女が?と思っただけ。そうしたらでるわでるわ!ここまで騙される、利用される、嘘をつかれる。人としての尊厳を傷つけられれば徹底的に調べます!」
奴は急に開き直ったのか、椅子にふんぞり返り足を組み。
「お前さぁ、いかにも自分が俺の本命で浮気されました感出してるけど、見りゃわかるだろ?別にお前が本命なわけないし!この中のひとりでしか過ぎないんだよ!」
「大好きだとか言ってたじゃない」
「はい、言いました!でも久里だけとは1度も言ってません!」
「ですよね?言われてない事にこれを知ってから気付きました!」
「ならいいじゃん!お前は便利な所に住む俺の癒し担当って事で」
奴は勝ち誇ったかの様にコーヒーを口にしてニヤリと笑った。
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