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「あっ、そうそう、お隣の家主の清美さんから預かり物があります」
「えっ?清美とも会ったの?」
紫乃さんは段ボールとメモを渡した。
「このメモに書いてある物を段ボールに入れて送ってくれですって……清美さんが買って差し上げた他の物は、昼間業者が来て持ち出してあるから、後は今身に付けている時計やスーツ、靴。財布や名刺入れと鞄。全てブランド物らしいですね?後はスマホ2台。それとメモの下ご覧になって?」
奴は見てワナワナしだした。
「ごめんなさいね、見ちゃったけど、お隣も今日の0時をもって契約解除したから出て行ってって」
清美さんが画面に向かって
「いい気味だわ!人をいいように利用して!」
メモを見た奴は慌てて隣の部屋に行った。
Gちゃんが回り込んで映した画像には、何も無くなったガランとした部屋にうずくまる奴の姿と少しばかりの段ボールだけが映っていた。
八十さんがキャップを被って出て行った。隣の部屋だ。
「こんばんわ、ご依頼のお荷物を引き取りにまいりました」
宅配業者を装った八十さんはあの棒読みが復活していた。
「ありがとうございます。お預かりします」
これで奴は何もかも失った……。
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