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皆、ハイタッチをした顔は晴れ晴れしていた。
八十さんが回収した段ボールからスマホを取り出し奴のGPSを抜いてPCで操作すると、Gちゃんが帰って来た。
私はそれを手に取り、八十さんに返却した。
「ハイ、確かに受け取りました。ではこれを」
私の前に紙が出された。
「何ですかこれ?」
「来月のシフトです。その日が出勤日です」
「えっ?そ、そんな事」
十畳さんが私の肩に手を置き
「今の仕事、派遣でしょ?契約終了にして社員としてうちに来なさいって」
「そうそう九の名字は抜けてるから!」八十さんがわけわからないこじつけを言っている。
他の皆まで
「向いてますって!だってあいつと会った後、声かけて来た時は本当の探偵かと思ったもん」
「「「そうそう!」」」
「はっ?だって今の仕事直ぐには……」
「私、派遣さんの求人サイト見た事あります。WワークOKって書いてありますよね?」
「え~っ!だぁってぇ」
私は十畳さんをチラっと見た。
「えっ!オレがネックになってんの?こんな紳士な俺がぁ?」
「九十久里さん、一緒にやりましょ?」
八十さんがニコっと笑った。
あの日、あの貼り紙を見なければ、違った人生を歩めたかもしれない。
でも、Gちゃんをレンタルしなければ、ここにいる女5人は騙され続けていたんだ。
これが今の私の自然の居場所なんだろう……。
流れに逆らわず生きて行こう。
それから私は探偵になった。
完 (続く……と思う)
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