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「 私この事務所の代表をしております、十畳五坪(じゅうじょう、ごへい)と申します」
「私は八十八夜(はちと、やや)と申します」
私はふたりの名前が可笑しくて笑いを必死に堪えていた。
「で?」ふたりが私を見ている。
「あっ!すみません私ですよね?私は九十久里(くじゅう、ひさと)と申します」
「どう書きます?」十畳さんはメモとペンを差し出した。
「こうです……」
「ははっ!くじゅうくりですか?面白い名前だなぁ」と八十さんを見てふたりで笑ってる。
「いやいや、あなた達のお名前も相当おかしいですよ?あっ!すみません」
「いやこちらこそ失礼」十畳さんが座り直し
「いやぁ、うちの調査員は一帖のり、二瓶、三角、四ッ谷、五十川、六軒、七瀬とおりまして、九だけなかったのでね」
「だから事務所の名前を九条にしたんですか?」私はつい調子に乗ってしまった。
「いや、名前は昔流行った探偵ドラマから勘違いで依頼が来るかと思って」
だれがするかい!と頭の中でつっこんで愛想笑いで返した。
八十さんが咳払いをして
「本題にはいりましょうか」
「あっ!そうだった」
ふたりは真面目な顔になった。
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