レンタル人形

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「で、何が怖いん? それ」 「代わりに風呂に入って来てとか、代わりにご飯食べてとか……。何て言うの? 生きることに直結するお願いはしたらあかんねんて。あとは、お願いを何回もし続けるとかな」 「もしやったら、どうなんの?」 真斗の質問に、歩美はもったいぶってニヤッと笑う。わたしはなるべく話を聞かないように、意識を違うところに逸らそうとした。 「その人の人生が乗っ取られる」 聞こえてしまった……。 「乗っ取られたらどうなんの?」 自分の、ゴクリ、と牛乳を飲み込む音がはっきり聞こえた。 「乗っ取られたら終わりや。人形がその人になりきってそれからの人生を過ごすねん。ちなみに、乗っ取られた人は次に乗っ取る人を探すんやとか……」 作り話だよね。本当の話なわけない。うん、あるわけないってそんなこと。 「そのレンタル人形の始まりとか気になるなぁ」 真斗は興味深いとでも言いたげな表情で、深く頷いていた。 知りたくないよ、そんな怖い話の発端なんか! 歩美のオカルト話はそこで終わり。昨日のバラエティー番組の話題に変わった。
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