レンタル人形

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ーー 次の日の朝、鞄に入れていたはずの英語のノートとファイルが、机に広げて置かれていた。 「ま、まさか、な……」 妹がお腹を出して寝ているベッドを見ると、枕元に飛ばされた人形があった。 もう一度机を見る。 ノートを見た。 「終わってる……」 昨日、分からない箇所だけ空けていた問題が、すべて埋まっていた。 わたしの筆跡と変わらない。だけど、わたしはこの問題をやってはいない。 まして杏莉が解けるはずもないし。お母さんやお父さんが代わりにやってくれることも、あるわけない。 「やっぱり人形……」 いや、でも、あれはレンタル人形の話でしょ? この人形は幼稚園の人形なんだから……。 背筋が凍った。 それ以上考えることが恐ろしくなり、頭を振ってその考えを吹き飛ばした。
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