どうせ嗅ぐなら

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どうせ嗅ぐなら

管理人さんがキッチンに立つと、コウタロウはフンフンと鼻を鳴らしながら俺の足の匂いを必死になって嗅ぎ出した。 いいのか? 犬の嗅覚は人の1万倍とか聞いたことがあるぞ!? 俺の足の臭いで失神とかされたら、かなり気まずいんだが? 俺はそっと手を出してコウタロウを確保すると膝の上に乗せて撫でてみた。 コウタロウは大人しくされるがままになっている。 人懐こい犬で良かった。これで失神コースは免れた! 部屋には爽やかな紅茶の香りが漂い始めた。 「どうせ嗅ぐならこういういい匂いにしろよ」 俺は背中をなでつけながら、コウタロウにそんなアドバイスをしてやった。
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