降り掛かった災難

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降り掛かった災難

「今回は災難でしたね」 管理人さんはパウンドケーキを皿に取り分けながら慰めの言葉をかけてくれた。 確かに災難といえば災難だ。 俺はこれまでの経緯を振り返る。 *** 終業式を終えて家に帰ったら、吉岡ハイツに規制線が張られていた。 「えっ?」 頭の中が真っ白になる。 何があったんだ!? 吉岡……吉岡は!? 「先生!!」 規制線をくぐってマンションに駆け込もうとした俺の耳に声が届いた。 首がいかれるほどの勢いで振り向けば、吉岡が人混みの向こうから手を振っていた。 「よ、良かった……君が無事で……」 俺は安堵で何も考えられなくなり、その場にへたり込んだ。
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