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事前に連絡を入れていたので、事件を担当している香川と木元という刑事二人が待っていた。
先ずは年配の香川にスマートフォンを確認してもらう。
「刈谷が口論していたという時間に、戸塚大輔は図書館にいたのですね?」
「はい。彼は毎週金曜日の昼休みには必ず図書館にいます。ここ数か月、ずっと。それは私が証明します。私は……あの、その」
どうしてそんな風に言い切れるのか。また、どうしてそんなことを知っているのか。それよりも、どうして彼の姿を盗撮したのか。
洗いざらい告白すれば彼を救うことができるのだが、恥ずかしくてそれ以上言葉にできなくなった。
「乙女心ですよ、警部。察してあげてください」
委縮した私の態度を見かね若い方の刑事、木元が声をかけてきた。
「盗撮したのは悪いと思っています。でも、これが証拠になれば彼は助かりますよね?」
「もちろん、内緒で撮影したのなら盗撮に値しますが、今回の場合は動機が動機だし……殺人事件の重要なアリバイ証言にもなりますからね」
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