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「でも、図書館は一般に開放されています」
私が付け加えると、久瑠未も反論する。
「それより、刈谷先輩は図書館なんかに近づかないと思います」
だから、戸塚大輔の存在など知るはずもない。
「もしも万が一、誰かに注意するにも、先輩は正義感のあるような人じゃないと思います」
久瑠未はきっぱり言い切った。
「とりあえず、戸塚大輔のアリバイが確定しているなら、タレコミ電話の信ぴょう性は弱いなぁ」
盗撮した写真が重要なアリバイとなり、大輔を救うことができそうだ。
「ところで、刈谷亜斗夢に関して二、三聞きたいが、時間はあるだろうか?」
警察の聞き込みでも、刈谷に関する芳しくない噂が出てきたようだ。
「中学、高校時代から派手で、悪い連中とつるんでいると噂されていました。一時は学級崩壊まで追い詰められて、私の兄たち同級生は迷惑していたそうです」
事情を知る久瑠未が喋り始める。
「先輩はスクールカーストでも上位にいたから、同じ付属進学組でも私たちのような底辺の人間なんか相手にしないんです」
「スクールカースト? 底辺? 刈谷は鼻持ちならない奴だったってことか?」
だから、尚更。部外者の清掃員を相手にするとは、到底考えられないのだ。それなのに、清掃員と一緒だったとは、あの日何が起きていたのだろうか?
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