Just only you

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「でも、今回のことで派遣はクビになった。殺人事件の容疑はかけられるし、学生のふりをして大学の図書館を利用していたのもバレたしね」 「戸塚さん、先ずはお聞きします。あなたは殺人事件とは無関係なんですよね?」  警察へ大輔のアリバイを証明する証拠を提出した身の上、ここは確かめる必があると久瑠未が切り出した。 「も、もちろん、無関係だよ。殺された刈谷何とかって学生は知らないし、あの日の殺害時刻には図書館に居たから殺人事件とは百パーセント無関係だ」  学生を装う時は決して誰にも話かけず、話しかけられないよう目を合わせない。大輔はそう決めて行動していたそうだ。 「だから、今日初めて藤澤さんに声をかけられて、正直どうしてって驚いてしまったんだ」  だから、私が「何かお探しですか?」と声をかけた時、目を丸くしてじっと見つめていたのか。そんな大輔が刈谷亜斗夢と面識があるはずがない。安堵している私とは対照的に、久瑠未は引き下がらなかった。 「でも、図書館は一般にも開放しているから、学生のふりなんかしなくても大丈夫じゃなかったんですか?」
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