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「派遣会社や清掃員仲間は、俺のことを知っている。けれど、殺された学生とは繋がりがない。君たち学生は俺の存在すら気づいていないはずだし、一体全体誰が俺の名前を出したのか見当がつかない」
もちろん、今まで仕事中に学生相手のトラブルもなかったそうだ。それなのに、わざわざ大輔を名指ししてまるで犯人のように仕向けるなんて、誰かが彼に罪を擦りつけようとしていると考える他ない。
「クビってことは、もううちの大学には……」
「でも、年明けに共通試験もあるから、元々年内いっぱいで辞める予定だったんだけどね」
「だ、大学受験ですか?」
「あぁ。ある程度の貯金もできたし奨学金さえ貰えれば、何とかなりそうだから」
と、いうことは……明後日の金曜日に図書館に行っても、いいや。これから先いつ図書館に行っても、もう二度と彼に会えなくなってしまうということだ。
「わ、私が犯人を見つけます!」
何故か咄嗟に出てきたのはこの言葉だった。
「えぇ?」
現場に腕時計が落ちていたために、大輔の容疑がまだ晴れていないらしい。それならば、彼の窮地を救うのが私の使命だと思えた。
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