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「あれは高校進学のお祝いに両親から貰った腕時計なんだ。だから、落としたとわかった時、あちらこちら探したんだけど見つからなくて……」
それがあの「何かお探しですか?」の真相だった。結局、腕時計は見つからず、何故か刈谷亜斗夢殺害現場に落ちていたそうだ。
「何だか益々臭うわね、その展開」
やはり、好きになった相手のため私ができることといえば、犯人捜しくらいしか思い浮かばない。
「やっぱり、私が犯人を見つけます」
「で、でも、これは警察に任せた方が良いと思うよ。だって君まで危ない目に遭うかもしれないから」
「それは大丈夫です」
特に自信があるわけではないが、きっぱりと言い切ってしまった。
「この事件は君には関係ないことなのに、どうして?」
「お手伝いしたいんです。だって、だって……」
二人のやり取りを見てじれったくなった久瑠未は、黙って私のスマートフォンを大輔に差し出した。
「これが伊織の気持ち。あなたの存在に気づいていた学生もいたのよ」
「こ、これが例の証拠写真ですか?」
スマートフォンの画面には図書館で勉強している大輔の姿があった。
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