Just only you

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「ほら、今時の学生さんはスマートフォンがあるから。腕時計をしている学生さんは少ないでしょう」  もちろん、見た目重視のお洒落なブランド腕時計をしている学生が多くいるなかで、大輔の落としたのはごくシンプルなデザインのクロノグラフの腕時計だったそうだ。 「スマートフォンの写真を見せて、こんな感じの時計ですって聞いてきたのよ」 「いかにも学生さんって感じの腕時計だったから、珍しいなって覚えていたのよ」  こんな風に大輔の腕時計探しは、他の場所でも確認された。だが、学生を装った図書館では大っぴらにできなかったようだ。 「やっぱり身バレを恐れて探している気配はなかったみたい」 「でも、証言から確実に彼が事件の前に腕時計を失くしたことは証明できるよね」  すると一瞬、静かだった図書館内がざわめきだした。殺人事件担当の香川、木元刑事が再び現れたのだ。どうやら私のスマートフォンに残された写真の撮影現場を確認しに来たらしい。
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