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「あの事件に興味があるの?」
今日の由依はどこか高圧的な感じだった。
「きょ、興味というか、何というか」
「担当の刑事に連絡を取ったりして、随分と深入りしているみたいだけど」
総務部に勤務している由依の耳に、私たちの行動は筒抜けのようだ。
「もしかして、事件に関して何か知っていることがあるの? それとも……」
「いえ、別に。大したことじゃないんです。ただ、ちょっと警察に協力しただけです」
「そうです。何か気になったことがあれば何でも報告してくださいって頼まれたから」
私たちの行為を責めるような由依の口調に、思わず言い訳のような言葉を返していた。
「これは殺人事件なのよ。まだ犯人も捕まっていないし、無暗に首を突っ込んで危険な真似はしないように気を付けてね」
大学側からの注意勧告だと言い捨てて、由依は去っていった。
「今の由依先輩、何か異様に怖くなかった?」
思わず久瑠未に同意を求めた。
「うん、怖かった。部活の時も怖かったけど、今のはその比じゃないよね」
由衣の態度に驚いたものの、この時はまだ彼女の言い分を信じていた。
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