Just only you

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 冬休みに突入すると、事件の調査は一旦打ち切り。そうなると、大輔と連絡を取り合う理由が見つからなくなってしまう。  いつもならどうしたものかと途方に暮れてしまうはずだが、幸運にも冬休みはクリスマスに正月と気軽にラインを送りやすい良い季節だった。  金曜日の彼をただ見つめるだけだった内気な私から卒業だ。チャンス到来とばかり、特に用事がなくてもメッセージを送り続けてみた。 「……とうとう冬休み。犯人捜しも一旦休憩。追い込み勉強頑張ってください! って、こんな感じかな?」  その甲斐あって大輔からもラインが返ってくるようになり、まるで昔からの親友だったような関係になりつつある。 「おっ、返信早っ!」 ――ご苦労様! でも、犯人捜しは程々に。ありがとう、勉強頑張るよ!!  大輔は高校を卒業してから、同級生たちと自然に連絡が絶えてしまったそうだ。受験勉強をしながら働いていると、同世代の友人を作ることも難しいらしい。  ひょんなことから私とラインを始めて、勉強の合間の楽しみになっていると言ってくれている。
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