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雑草の伐採は杉野という女性事務員の指示だったと打ち明けた。
「でも、何か妙だったんですよ。だから、伐採した雑草の行く先を追ったんです」
いつもなら決まった業者がごみ回収するはずなのに、今回だけは伐採した雑草が別ルートで回収されていった。しかも、回収していったのはレンタカーの軽トラック。
運転していたのは見覚えのある顔で、調べたら成都大学の男子学生だった。
「それでピンときたんです。あれはやはり大麻草だって」
伐採しているうちに気になっていて、実はこっそり大麻草の一部をくすねていたのだ。
それからずっと雑草を回収した男子学生、刈谷亜斗夢の行動を探りつづけた。
そして、大学構内で大麻売買がおこなわれていると辿り着いた。
「こんな凄い秘密を知ったら、つい色気が出ちゃって」
あとは刈谷を脅して、あわよくば大麻をせしめるつもりでいたという。ところが、運が悪いことに刈谷と接触できた日に、彼は殺されてしまったのだ。
「で、でも、俺は殺してなんかいない! あの日は大麻草の件で脅しを入れただけ。本当です、信じてください」
「何故それを聞き込みした時、直ぐに言わなかったんだ?」
警察は大輔以外にも、清掃員たち全員に事情聴取をおこなっていた。
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