Just only you

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「でも、水臭いんじゃないの。人の恋路を邪魔するような意地悪じゃないのに、信用して打ち明けて欲しかったなぁ」  拗ねたように久瑠未が口をとがらせる。 「ご、ごめん」 「まぁ、それも含めて伊織だから、仕方ないか」  長年の付き合いで姉妹のような間柄だとしても譲れないことがある。内気でおとなしい私だが、一度決めたら揺るがない頑固な一面もあると久瑠未は知っている。 「その代わり親友を欺いた罪として……」  いきなり久瑠未が私のバッグからスマートフォンを取り出して、あろうことか勝手に金曜日の彼を盗撮し始めた。 「な、何をするのよ。勝手に写したら駄目じゃないの」  声を潜め久瑠未に抗議するも、全く相手にされなかった。 「あの顔、どこかで見たことがあるような、ないような。二〇二E教室の講義だったかなぁ。でも、確実に言えるのは、彼は大学からうちの学校に入学した学生ってことだけね」  私と久瑠未は共に成都大学付属中学、高校と進んだ仲間だ。同じ付属高校からの進学組ならば、見違えるほどの整形でもしていなければ先輩たちの顔くらいは知っている。
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