0人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章
少女が、賑わう町を歩いていた。
眼光鋭い視線で睨み見据え、その視線の先をとらえたままただ一点に集中していた。
行き交う人々、喧騒と車などの風を切る音。
誰もその少女の怖い殺気に気がついていなかった。
なぜなら、彼女はその殺気を人々に向けているわけではなかったからだ。
ーー目的はただ一つ…あいつ以外に何もない
「見つけた…」
不意に少女が呟いた。
その視線の先、暗い路地を入り、突き当たりのフェスに、怯えて腰を抜かし青ざめ震えるサラリーマン風の男性の目の前に、異質な女の子供がいた。
向かい合う二人。
その関係はまさにハンターと獲物と云った感じで、決して不適切な関係を結んでいる訳ではなさそうだった。
明らかにそのサラリーマン風の男性は、見ず知らずの子供にいきなり、襲われ、追い詰められた状況だった。
その恐怖に染まっている表情が物語っていた。
最初のコメントを投稿しよう!