記憶

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 ◇◆◇  むかしむかし、あるところに一人の王子さまとお嬢さまがおりました。  二人は小さいころからの婚約者で、いつも仲良く、お互いを愛しあっておりました。  そして、二人は成長するにつれてどんどん美しく聡明になり、だれから見てもお似合いの恋人となりました。  しかし、そんなある時、事件が起きました。有能な王子を妬んだ兄王子が彼を殺そうと暗殺者を送ったのです。  暗殺者は王子を襲い、ナイフを振り上げました。  しかし、ナイフは王子に刺さりませんでした。代わりにお嬢さまが王子を庇って死んでしまいました。  愛する人を亡くした王子さまは悲しみました。それはそれは悲しみました。  そして、王子さまは兄王子を捕まえ、お嬢さまのかたきをうつと、すぐにお嬢さまの後を追ってお城の塔から身を投げました。  王子さまも遠いところに行ってしまいました。  ◇◆◇  これは、こことは違うとあるファンタジーな世界で語り継がれる悲劇の物語です。話によると、優しかったお二人の死を周りの人や国民は大層悲しんでいたそうです。  けれど、あなた達は知っているでしょう?二人は違う世界で結ばれて、幸せにしています。  きっと、悲劇の物語の二人の未来は幸せに溢れていることでしょう。
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