記憶

1/4
前へ
/4ページ
次へ
 私には、前世の記憶がある。  今は女子高校生で、毎日を平穏に淡々と過ごしているが、前世では私は貴族だった。  しかも私が前世に過ごしていた世界はこことは違って魔法があって、私も水の魔法が使えた。  生まれた時にはもう、この記憶を持っていて、生まれ変わっていると気付いたら、両親に怪しまれないように年相応の行動をするように頑張った。お陰で周りは誰もそんなことを思っていないはずだ。  そう、今までは。  私は今、男女数人の友人にガン見され、とても気まずい思いをしていた。顔を俯け、縮こまる。  今、私は友人達と旅行の最中だ。そして、一日目が過ぎ、夜になっても元気な友人達に半ば無理矢理引きずられ、半分眠っていた私も友人達の会話に混じっていた。  そして、どういう会話の流れだったのか(寝ぼけていたので)忘れたが、私はポロリとこぼしてしまったのだ。 「私、前世ではノエル・アクアマリンという名前で貴族やっていたんだよ」  と。  ああ、終わった。  私はすっかり眠気の覚めた頭で、諦めたように考え、ガックリと肩を落とした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加