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清掃部隊は一班約20名で構成される。
通常清掃は1から3班までが担当。4班は物資運搬の特別班で構成人数も半数。手が空けば清掃のフォローに入ってもらう。
班長は現場監督や事務作業がメイン。サラの将来を考えるとそっちを教えたくなるがまずは基本作業から。人の上に立つ者ほど誰よりも基本が出来ていなければならない。
案内した錆だらけの運搬車には巨大なタンクが2つ。それぞれに希釈済みと原液の文字がある。
「これが洗浄液のタンク。見ての通り既に水で薄めたものと原液がある。厄介な汚れじゃなければ希釈済みで充分落とせる」
サラは真剣な眼差しで頷く。分かりやすく反応してくれるのは教えるのが楽でいい。
近くに停めてあるもう1台の荷台には30リットルタンクの背負式洗浄機が並んでいる。
適当に選んで希釈済みのタンク下に設置。蓋を開けて排出口から伸びているノズルを入れる。
「とりあえず最初は10リットルでやってみるか」
コックを捻り補給を始めると、
「いえ、最初から満タンで大丈夫ですよ」
ケロッとした様子で最重量を希望する。
「いやいや、かなり重いぞ?大の大人だって入れてもせいぜい25リットルだ」
それこそ30リットル全て入れるのは各班長くらいだ。隊長に至っては60リットル用を特注し、いつも無駄話しながら洗浄してる。ありゃただの化け物だ。
サラは俺の心配を気にも留めずにこやかに言った。
「任せて下さい。私こう見えても腕っ節には自信があるので」
「まぁ、そこまで言うなら」
ただでさえサラは小柄だ。最初からは無理だろうと思いながらタンク一杯に洗浄液を入れる。
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