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蓋を閉め背負いやすいように向きを調整。
屈んだサラはバックベルトに腕を通す。
「よいしょっと」
倒れないよう洗浄機を支えていた手を離れ、サラは難なく立ち上がった。
ピンと伸びた背筋、涼しげな顔。
「はー、やるなぁ」
カムラがはじめて背負った時は20リットルでヘルプ要請出してたのに。どこに怪力隠し持ってんだ?
「どうですか?このまま王都一周ダッシュで回れますよ?」
ドヤ顔で屈伸、その場で足踏みする。いやそれ普通にサボりだから行かんでいい。
「余裕なのは分かったから。このまま洗浄しに行くぞ」
「私の重量級ランナーの夢があっさりと流された!」
荷台に無造作に置かれたデッキブラシを手にして先を行く。膝を壊しそうな夢なんぞ捨ててしまえ。
負傷した魔物が徘徊した道路には至る所に血が残っている。
せっかくの教育期間なので俺はサラに質問を投げ掛けた。
「魔物の血は放っておくと危険なんだが、その理由を説明出来るか?」
「はい。魔物の血には色濃く魔力が残っているため、人体に悪影響を及ぼすからです。それに腐敗した血液からは病原菌が生まれ感染症を引き起こす可能があります」
明日の天気でも読み上げるかのように淡々と魔力の危険性と病気への移行性を述べる。
「流石に勉強してあるな」
「もちろんです。清掃部隊が第一志望でしたから」
勤勉さも兼ね揃えているとは。こりゃ育たなかったら完全に俺のせいにされるな。
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