35人が本棚に入れています
本棚に追加
「洗浄機は蓄圧式なんだ。左手でレバー何度か下げて圧力を溜めて、ノズルのグリップを握ると洗浄液が出る。軽く汚れてる所に吹きかけてくれ」
左腰あたりから前方に伸びたレバーは下げると自動的に元の位置に戻る。言われた通りシャコシャコすると次第に圧力が高まりレバーが動かなくなる。
ブラスターを簡素化した攻撃的な見た目のノズル。グリップを握ると洗浄液が勢いよく飛び出した。
「わっ、結構強く出ますね」
「握る強さで威力も調整出来るんだ。っと、弾くと危ないからプロテクター被らなきゃな」
魔物の血も洗浄液も体内に入れていいものじゃない。魔物に関しては適正な処理をすれば食べられるらしいけど信憑性は定かではない。
プロテクターの視界は広い。透明度も高いので見えづらさはあまり感じない。
さらにこの防護服は通気性が非常によく蒸れが少ない。軽素材に加え、外部の音も拾いやすいと高性能を誇っている。
サラが洗浄液で大まかに洗い流し、俺がデッキブラシで仕上げ。
それほど時間が経ってないので今日の汚れは落ちやすい。被害が大きく手が回らずに乾いてしまうと落とすのも一苦労になる。
ゴシゴシやってると、サラが感心したように言った。
「ヤマト班長、上手に汚れ落としますね」
プロテクターの奥で尊敬の眼差しを向けている。
「そうか?誰がやってもそこそこ綺麗になるけどな」
「いえ、ブラシの当て方や力の入れ加減が理想的です。効率よく清掃する形になってます」
「そ、そうか」
骨董品でも鑑定したかのように静かに働きっぷりを評する。
「私の目に狂いはありません。こう見えても掃除のプロなので」
プロというのは今現在の職業を意味するのか、それとも元々民間の清掃業者で働いていたのか。
もしかして監査員の回し者か?身分を隠して査定しているなら適当にやってたら減給されてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!