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作業内容は一時変更。無線機の数字を押し、カムラへと繋げる。
『ふぁい、カムラです』
今欠伸しなかったかこいつ。まぁ辞める辞めないの話したばかりだし、今回は目をつむってやろう。
「カムラ、今日は1班の上2人が来られないらしい。俺達で『聖灰』振って1班に片付けてもらおう」
『あれ?マーク君はともかくライアン班長は?』
「酒」
『あー、なるほど。了解です』
色々と察したようだ。1班のツケ(ほぼライアンさん)が回って来るのはもはや慣れっこだった。
一通りことの成り行きは聞いていただろうけど、改めてサラに言った。
「清掃は一度切り上げよう。これから魔物の死体処理に移る」
「はい。でも死体処理も清掃部隊の仕事なんですね」
「ひと昔前までは騎兵部隊も手を貸してくれてたらしいけどな。今じゃ全部俺達に丸投げだ」
「それは……許せませんね」
サラの背後に怒りのオーラ揺れる。君今日入ったばっかりだよね?
それに口ではそう言うものの、サラは死体処理自体を嫌悪してはいないようだ。
「サラ隊員は魔物の死体とかは平気なのか?」
「全く問題ないですよ。スプラッター映画とか好きなので」
「あ、そう」
今日出会ったばかりなのに、この底知れなさは何なんだ。ちょっと怖くなってきたよ。
気を取り直して厚手のビニールシートが掛かった運搬車に立ち寄る。
荷台には溢れんばかりに細やかな灰が積んであった。
「教会では毎日シスター達が祈りを捧げて『聖火』が燃え続けてる。その聖火の炎を移して物を燃やすと不思議とこんなに綺麗な聖灰が残るんだ」
聖灰を指で摘む。さらさらと流れ落ちる様は白浜の砂にも似ていた。
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